こんにちは。
福岡市で活動する税理士事務所「武久税理士事務所」です。
今回は、企業の節税や資金繰りにおいて重要な「繰延資産」についてわかりやすく解説します。
特に、起業初期のスタートアップや個人事業主の方には必見の内容です。
繰延資産とは?未来の収益に貢献する費用処理の方法
繰延資産とは、支出時にすぐ費用とせず、将来の収益に貢献する期間にわたって分割処理する資産です。
代表的な繰延資産の例
・創立費(会社設立に関する費用)
・開業費(開業準備の費用)
・開発費(新商品の開発関連費用)
・株式交付費
・社債発行費
これらは任意償却が可能で、最短1年で全額償却することも可能です。
企業の状況に応じて柔軟に費用化できます。
繰延資産を活用する3つのステップ
① 支出の目的を確認
その支出が将来の収益と因果関係があるかを明確にします。
② 証憑類を保管
領収書や契約書を整備し、「繰延資産台帳」に記録します。
③ 償却のタイミングを決定
決算時に償却額を決定し、損金として処理します。
【実例】広告費500万円の繰延処理パターン
新規事業で広告宣伝費500万円を開業前に支出した場合、以下の選択肢があります。
✔ 初年度に全額償却:黒字決算で税負担を軽減したい場合に有効
✔ 3年間で均等償却:利益を平準化し、税効果を分散
利益が出る年度に合わせて償却タイミングを調整することが、節税戦略上のカギとなります。
繰延資産活用時の注意点
① 消費税処理に注意:繰延資産の支出は課税仕入れとして扱われます。納税資金の確保が必要です。
② 資料不備のリスク:税務調査時に私的支出とみなされることのないよう、記録と書面を整備しましょう。
また、償却期間を変更する場合には届出が必要です。
期首時点で税理士と相談し、償却方針を明確にしましょう。
スタートアップや起業初期こそ有効な理由
赤字が続く起業初期は、広告費や開発費などの先行投資が多くなります。
そのような支出を繰延資産として処理することで、将来の黒字期に節税効果を集中させることができます。
資金繰りや損益の見通しを踏まえ、償却タイミングを柔軟に設計することが重要です。
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次回予告:株主総会と事業承継の税務ポイント
次回のブログでは、「株主総会と事業承継における税務上の注意点」についてお届けします。
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