武久税理士事務所｜福岡市の中小企業・個人事業主を支援する公式コラム。
日々の経営において、「節税」は多くの経営者にとって重要な関心事です。
しかし、税金を減らすことばかりに目を向けすぎると、結果として本来の経営判断を誤ってしまうリスクも潜んでいます。
福岡市の【武久税理士事務所】では、税務の専門家として、そして経営の伴走者として、「節税よりも利益を残す」という視点を大切にしています。
本コラムでは、節税に潜む落とし穴から、利益をしっかりと残す経営のポイント、税理士の活用法までを、わかりやすく解説していきます。

節税ばかりに気を取られていませんか？

経営者が「節税」だけに集中してしまうと、結果として会社の財務基盤が弱くなってしまう可能性があります。
確かに税負担を抑えることは重要ですが、それが目的化すると、本来の経営判断を見誤ってしまうおそれがあります。
経費の無理な支出や利益の圧縮は、一時的には節税につながっても、資金繰りを悪化させたり、信用力を低下させたりするリスクもはらんでいます。
経営において本当に大切なのは、利益を適切に残し、次の成長や安定した運営に備えることだといえるでしょう。

節税対策の落とし穴とは

不要な経費がキャッシュを圧迫する

節税目的で経費を増やすことは、一見すると税負担を減らす手段に見えますが、実際には手元の資金を減らす結果を招くことがあります。
たとえば不要な備品の購入や過剰な外注費の計上などは、キャッシュフローに悪影響を与える要因になります。
資金繰りが厳しくなると、運転資金の確保が難しくなり、本来の経営活動に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。

内部留保や投資資金が不足するリスク

節税のために利益を意図的に圧縮し続けると、会社に残る資金が少なくなり、将来の投資や万一の備えに使える内部留保が不足します。
設備投資や人材採用、新規事業へのチャレンジといった前向きな取り組みには、十分な資金力が不可欠です。
税負担を抑えすぎるあまり、成長機会を失ってしまうことは本末転倒といえるでしょう。

節税が「利益減少」につながるケース

税金を減らすための施策が、そのまま利益の圧縮につながることがあります。
これは特に、節税を目的として不必要な支出を計上した場合に顕著です。
短期的には税金が減ったように見えても、利益が減れば金融機関からの評価が下がり、融資に不利になることもあります。
結果として、経営基盤が弱体化する可能性もあるため、利益と節税のバランスを慎重に見極めることが重要です。

税務調査で否認される可能性も

節税目的で行った取引や経費計上が、税務署から「不適切」と判断されると、税務調査の際に否認され、追徴課税や加算税が課されるリスクがあります。
特に形式だけ整えた取引や、実態の乏しい支出は注意が必要です。
結果として本来より多くの税金を支払うことになりかねず、節税どころか経営にマイナスの影響を与えるおそれがあります。

経営で重要なのは「利益を残すこと」

利益は会社の信用と体力の源泉

企業にとって利益は、単なる数字以上の意味を持ちます。
継続して利益を計上できる企業は、外部からの信用が高まり、取引先や金融機関に対して安定した経営をアピールすることができます。
また、利益は内部留保となり、将来的な投資や予期せぬ事態への備えにもつながります。
つまり、利益こそが企業の体力であり、持続可能な成長の基盤になるといえるでしょう。

融資や取引先評価に直結する利益額

金融機関が融資審査を行う際、重要視するのが利益水準です。
過去数期にわたり安定した利益を確保している企業は、返済能力が高いと判断され、融資条件も優遇されやすくなります。
同様に、取引先からの評価にも利益は直結します。
利益を出している企業はビジネスパートナーとして信頼されやすく、商談の際にも優位な立場を築きやすくなるでしょう。

利益がなければ節税の意味はない

そもそも税金は利益に対して課税されるため、利益がなければ税金は発生しません。
つまり、赤字の状態で節税を考えること自体がナンセンスともいえます。
また、過度に節税を追求して利益を削れば、結果的に企業の存続や成長が危うくなる可能性もあります。
まずはしっかりと利益を生み出す体制を整えることが、節税よりも優先されるべき経営課題だといえるでしょう。

利益を残すための経営判断ポイント

売上アップの戦略を立てる

利益を残すためには、まず売上を増やす戦略が欠かせません。
値上げや新規顧客の獲得、既存顧客のリピート率向上など、複数のアプローチを同時に検討する必要があります。

原価や固定費の適正化を進める

サブスクリプションの見直し、外注コストの抑制、業務効率化による人件費削減など、コスト管理は利益率を大きく左右します。

投資と支出のバランスを見極める

将来に向けた投資と、抑えるべき無駄な支出を区別することで、経営の安定性が高まります。
武久税理士事務所でも、経営者様の事業規模や状況に応じて、このバランスをともに考えてまいります。

キャッシュフロー経営を意識する

帳簿上の利益が出ていても、現金がなければ会社は回りません。
資金繰り表の作成や、入出金サイクルの見直しが求められます。

税理士と考える「節税から経営判断」への転換

節税だけでなく経営相談をする重要性

武久税理士事務所では、税務申告だけでなく、経営の意思決定支援や数字に基づく改善提案にも力を入れています。
税理士は決算書の「先」を見ることができるパートナーです。

数字をもとにした経営判断のサポート事例

クラウド会計を活用した月次の分析から資金繰り改善まで。
数字の読み解き方ひとつで経営の方向性が変わることがあります。
これまでにも多くの事業者様が、数字に基づく判断で経営改善を実現されています。

地域の税理士事務所をパートナーに活用

福岡市に根ざす武久税理士事務所は、地元の業種・規模・風土を踏まえた支援を行っています。
経営者様の隣でともに考えるパートナーとして、ぜひご活用ください。

まとめ：節税よりも利益を残す経営判断を

節税は確かに重要な経営手段のひとつですが、それ自体が目的化してしまうと、企業の健全な成長を阻害する結果になりかねません。
真に重要なのは、事業活動を通じて利益をしっかりと生み出し、手元に資金を残す経営判断を積み重ねていくことです。
税理士を単なる「申告代行者」としてではなく、数字から経営の方向性を示してくれるパートナーとして活用し、「節税から経営判断へ」という視点の転換を図ることが、これからの時代の中小企業経営に求められる姿勢だといえるでしょう。